ニコ坊鈴木

 ニコ坊鈴木は自身の配信を開始する以前からピアキャストの世界で動画職人として名を知られていた。
ピアキャストの格配信の名場面をテレビのランキング番組風に編集し、
自らの名を冠して「ニコ坊鈴木のピアキャストランキング」と名付けられた動画は、
2007年末から2008年初頭ごろまで、ピアキャストシーンを視覚化する役割を担っていた。
 彼の動画は佐々木、永井先生と言ったピアキャストの主神のみならず、
当時ピアキャストシーンで中堅配信者として活躍していた配信者を取り上げ、
それをニコニコ動画というピアキャストの外の世界へ露見させる事によって、
相対的にピアキャストの世界というものが存在すると言うイメージをより強固に抱かせる効果があった。
High-da!登場以前にこのような触媒としての機能を果たした事実は、ピアキャスト界における鈴木の最大の功績である。

 動画職人として一定の地位を築いた鈴木が初めて配信の世界において配信をする側に現れたのは、
2007年末m9の配信でのm9とのスカイプ対談であったと記憶している。
鈴木は2008年に自身の配信を開始すると宣言し、
その宣言は多くのピアキャスト民から歓迎された。
そして年が明け宣言内容は実行された。

 結論から言うと鈴木は配信者としては決して成功したとは言えなかった。
鈴木は多くの配信者と同じように、自分から何等かの情報を発信し、
それに対して掲示板に寄せられたレスを読むという形式の配信を行ったのだが、
鈴木には既に動画職人としての思考が染み付いており、
配信のノイズに成り得るようなレスは読まず、自らが求める配信内容に沿ったレスのみを読み上げた。
レス読み飛ばしはレスが集中した場合どんな配信者でもやむを得ず起こる状況だが、
鈴木の場合、どれだけスレッドが過疎状態になってもレスが集中しても姿勢は変わる事は無かった。

 鈴木はニコニコ動画にアップロードする動画を作成する際、
様々な配信から自分が面白いと思った場面を抜き出し動画を作成したように、
掲示板の内容を脳内のフィルターにかけ編集し、ノイズの無い世界を作り上げ配信を成立させたのである。
 このレス読みの特徴はあくまで鈴木配信の特徴の端緒であって、
動画職人としての染み付いたこの思考は配信内容全般において影響していた。

 その結果配信は人間味の無い味気の無いものになり、
初回放送こそリスナー数は数百をたたき出したものの、
徐々にリスナー数は減り、配信末期においては三桁に僅かに足りないレベルを行き来していたと記憶している。

 結局の所、鈴木は配信する側にありながら、性質はリスナー時代とあまり変わらず。
その歪みを抱えたまま配信を続けたというそれだけの事であるが、
鈴木の配信は、ある事柄に対して人間と言うものは
それぞれ何等かの要素から与えられた役割があるのだと言う事を我々に提示した。
ピアキャストはネット上でありながら生身の人間の姿を映し出し、
時に教養や人生経験を与えてくれる。
そう言った意味ではニコ坊鈴木以上に人間に味あふれる配信者は居ないのかもしれない。

採点
ニコ坊鈴木:6.0
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