やすひろ (( ´Д`) 、顔文字)

 ピアキャスト配信者の種別の一つに「祝福された変わり者」と名付ける事が出来る種別がある。
一般社会では必ずしも肯定的に受け取られない個性でも、
ピアキャストと言う人間的な刺激を求める者が多く居る空間ではその価値が反転し
変わり者は祝福された存在となるのである。
 この価値観の反転は、好事家達の視線の集まりによって引き起こされる現象であり、
この点が奇行を奇行として行う佐々木等の奇行系配信者との決定的な違いである。

 この「祝福の視線」の本質は侮蔑やさげすみである。
人間には自分より弱い者を見つけ安心したいという欲求がある。
そしてその欲求はただ弱い者を観察しているだけではなく、
何等かの形で係わりを持てばその欲求をより強くみ足す事が出来る。
そしてピアキャストの世界ではそれが掲示板への書き込みとして具現化されるのである。

 本稿の批評対象であるやすひろは
私が知る限りピアキャストに最初に現れた祝福された変わり者である。
力の抜けた声と共にカメラに自らの姿を晒したやすひろは多くの祝福の視線に晒され
人気配信者となった。
掲示板には明らかに他の配信よりも配信者に高い位置からの目線が向けられている事が感じ取れる書き込みが多く見受けられた。
 やすひろに向けられた「祝福の視線」に隠された人間の否定的な欲求に気づいていたのは
私だけではないはずである。
私以外の多くのリスナーも自らの心の中に湧き上がる否定的な感情を自覚しており、
やすひろ自身もその事に気付いていた一人であったに違いない。
 そしてそういったある種の特殊な価値観の共有がやすひろ配信の独自の魅力になっていた。

 リスナーは現実世界では憚られるような視線を投げかけ、
やすひろは半ばそれを自覚しながら自らに集まる生の人間による反応を楽しんでいた。
この現実世界では成し難い共犯関係が、リスナーとやすひろを強く結び付けていた。

 祝福の視線によって変わり者を祝福すると言う手法は、
やすひろ配信で多くの者が学習し、
その後殺し愛やHigh-da、ギターウルフマン、美輪、クロネッカ配信等で繰り返される事になるが、
前述のリスナーと配信者が奇妙な共犯関係による連帯感を共有すると言う状況は
後にも先にもやすひろ配信のみで成立していた稀なケースである。
 やすひろ配信は、
ある人物に対する否定的な感情ですら
その人物との人間関係を成立させる要素であると証明している。


採点

やすひろ:7.8

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